と、まぁ自分なりのプロダクション・ノートです。
今回は久々に長いブログになりそうですので・・・。

そもそも飯野雅彦さんとの出会いは『GOODWILL王子支店』(2010/王子小劇場・御笠ノ忠次脚本演出)で飯野さんが派遣バイトの支店長役、自分が大卒の内勤バイトの役でした。公演時、次に入って来る俳優さん(確か右近良之さんだったと思います。)の登場まで毎回即興で自由に演じる箇所が台本上にありまして、その時の飯野さんとのやり取りがとても面白かったのです。

その後共演の機会は無かったのですが “ 即興劇公演をやってみたい ” と思い昨年の春、新宿で飯野さんと打ち合わせをしたのです。(偶然にも僕が飯野さんに直訴する前日にかつて共演した事のある別の俳優さんも飯野さんに即興公演について問い合わせがあったそうです。当初は3人で出来たら!と手探りでスタートしたのですがそれぞれのスケジュールが合わず・・・。)

ものすごいゆっくりなペースで(月イチ?)打ち合わせという名の価値観の擦り合わせや好きなDVDの貸し借りなどをしつつ公演の概要(ヒラヌマという男による「Creative Square Produce」と自分による「ズボラザ」というユニット公演『いいの たけお』)が決まり、場所を決め、激安でアタマをさげつつスタッフさんを固め、月イチの打ち合わせから週イチの立ち稽古(といいつつ最初の90分は雑談。)が始まるのです。

飯野さんの素敵ポイントは“決めつけない”ところだと思います。
即興劇に必要な脳内準備体操のような「しりとり」からの連想ワードや、無対象で仕事をしている人の日常のひとコマを演じるエクササイズから立ち稽古は始まるのですが、僕のやる事を尊重しつつ「〜その場合だったらこういう演じかたもあるよ〜」と伝えてくれていた様に思います。

ただ自分としては企画段階の告知で「90分台本無し公演」と明言してしまっていたのでなんとしても稽古中に90分の即興をしてみたかったのですが、、最初のうちは30分でアタマもカラダもすっからかんになってグッタリで、とにかく今まで経験した舞台公演のどれとも違う得体の知れない何か(不安7割ワクワク3割)を抱えていました。でも飯野さんはいつも通り(笑)

飯野さんが海外で経験された“シネマティック・インプロ”の稽古も大変役に立ち、伝わったかどうか分からないけど7回の公演でふんだんに使いました。
(ん〜文章で説明するのは難しいけど、、、演じている相手の対象の遠近感や大きさの違いを映画のカット割りの様に見せる手法でした。)

そして結局90分のリハは出来ず初日公演で初の90分!!

公演の始まりはフリートークの様な形で自分と飯野さんが各ステージ交互ににお客様から“お題”を頂戴し、もう片方が最初のシーンを作りその場面が見えて来たら一度舞台脇にはけた“お題”を頂戴した1人が舞台に入り即興の物語が始まる、という流れです。

もう全7公演の記憶も少しずつごっちゃになってきています。。自分のメモとして書いていたその上演回に演じた役一覧でおぼろげにストーリーが分かるくらいで、なぜその役を演じる話になったのかはもはやお客様の記憶の中、です。

全て即興なのですから。

もちろん「?」と思われたお客様もいたかと思いますが概ね自分と同業の方々も演劇とは関わりのないお客様も好評を頂けたと思っています。

観に来た御笠ノ氏(御笠ノ忠次)の「読書」と言ったこの公演の感想は見事に的を得ているのではないかと思います。観ている人それぞれの想像力の中で僕と飯野さんの不思議な旅が続いたのです。

観に来てくださったお方のありがたい感想を(許可を得て)抜粋で・・・

「・・・未だに即興だったとは思えません(中略)
昨日のお芝居を見て、数ある芸術の中で「同じ時代に生きている」ということが一番重要なのは演劇なんだなと思いました。あの驚きと感動は、文書や映像ではとても感じることのできないものでした。」

さまざまな舞台や映像も続けていきますが(僕の次回公演は即席仮チラシが入っていましたよね?)
こういうスタイルの公演もいつかまたやりたいと思います。

追記もあるかも知れませんが、『いいの たけお』についてはこの辺で。

飯野雅彦さん、スタッフの皆様そして、ご来場くださった皆様本当にありがとうございました!

そして今回の記事にながながおつきあいくださりありがとうございました☆”

(画像はこのところ掛けている度付きメガネです。3つとも同じ度数。)

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