数日前から親父(この度7年ぶりに舞台共演の中尾隆聖さんです)が稽古場に来た。東京と関西でのアガサ・クリスティの公演を終えて。岸野組公演のあとも年内は出演する舞台やら撮影などがあるらしい、、忙しい。忙しくしすぎではないのかい?と御心配のお方もいるのかもしれないが“親父、休暇になると体調崩す説”が実際にあって、水族館のマグロの如く泳ぎ続けるのが良いのだろう、そして生活の為に、家族を養う為に俳優から声優に仕事をシフトし人生を重ねて来た。もうアディショナルタイムだ。身体が動く限りやりたい舞台をやったら良いと思っている。
都内での仕事を終え夕方に稽古場に入るや否やで親父の場面をあたる。稽古場はサウナなのかい?て程汗が吹き出していた。代謝の良いじいさんだ。
“タケオ、良い役者はな、汗をかくんだよ”
1年間いて自ら卒業した劇団研究所の吉兼保さんという演出家が稽古中こっそり耳打ちしてくれたのを思い出しだした。ついでに思い出したけど、“タケオくん、省エネ芝居はダメだからね”とノート(ダメ出し)をくれた高瀬久雄さんも思い出した。ご両人とも鬼籍に入られている。あぁ、17年前TBSドラマでチェジュ島でのロケをご一緒し食事にも連れてってくださった昭和の名優も御逝去された、あー俺も歳とったんだな。もっとちゃんとしなきゃな。
親父の出現によりさらに場面が動き、何より(演出の)岸野さんが楽しそうなのだ。メシの時、ユキちゃんを楽しませる為に(この公演に)出る、みたいな事を言っていたっけ。ユキちゃんて誰?と聞いたら岸野(岸野幸正・きしのゆきまさ)さんのことだった。昔からそう呼んでいたらしい。
“リスクを負え 命を賭けろ 正気を捨てろ バカになれ”
汗で思い出したけど10年くらい前までは舞台出演の台本のどこかにいつもこの言葉を書いていた。“アクターズスタジオインタビュー”のアンソニー・ホプキンスの言葉だ。
初日まで3週間以上ある。
画像は稽古前。食後に縦書きの書物にくらいつく親父。